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よい習慣は才能を超える(ブログ)

2018-04-01 20:24:00
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娘が10ヵ月の時、家族を伴っての米国勤務の下見に行ったときのことです。ニューヨークへ向かう国際線の中での出来事でした。ニューヨーク到着の一時間程前でしょうか。珍しくウトウトしていましたが、突然の妻の叫び声で私は目を覚ましました。娘の足がシートのリクライニングシートの隙間に巻き込まれているのを見つけました。私はとっさにリクライニングシートを元の位置に戻すボタンを押し、足を掴んで一気に引っ張りだしました。血まみれの足を押さえながら、キャビンアテンダントと共に処置をしました。幸運なことに隣の席に座っていた整形外科医が、骨には異常はなさそうだという診立てをしてくれました。ニューヨークへ降り立ってから、予約していたリムジンタクシーで急遽Yale大の緊急治療室へ行きました。米国で医療サービスを受ける時は、医療保険は最も重要なアイテムなのです。しかしながら、医療保険証の発行がまだだったため、「お前は何者か?」「身分証明書を見せろ」「医療保険は未加入か?」などと、散々な目に逢いました。持っていたクレジットカードを保証として治療をしてもらえることになりましたが、結局、レントゲンを撮って消毒をしてくれただけ(*)でした。後日、日本円でおよそ20万円の請求が来たのには驚きました。アメリカで医療費をなめたら痛い目にあいます。国が違うと医療制度も異なり、言葉はもちろんのこと、常識や文化も違うのです。その間、ずっと私のことを助けてくれたのは、リモのドライバーさん。年は70前半くらいの老紳士。心配で頭が真っ白な私たちのリクエストを医療機関の方に「ちゃんと聞いて対応してくれ!」「消毒薬も追加が必要でしょ!」って何度もお願いしてくれました。ERを出て、また車を走らせること1時間半。薬局に塗り薬を取りに行った時も、一連のやりとりに物凄い時間がかかりました。リモの中で彼は怪我した娘を抱っこする妻を気づかってサポートしてくれていたそうです。やっと薬を受けとりリモに戻った時、彼はにっこり微笑んでくれました。異国の地で神を見た瞬間でした。赴任期間が終了してした時に指名でNY JFKまで送ってもらいました。あれから10年近く経ちます。今ごろあの紳士はどうしているだろうか。また御礼が言いたいと思った時には遅かったりするんですよね。

 

(*:今考えると、状況と創の種類からクッションとクッションの間に挟まれ、さらにハンドクリームのチューブが一緒に挟まったために出血に至ったと推測しています)